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ある男のkureaのネタバレレビュー・内容・結末

ある男(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

大きなどんでん返しがあるわけじゃなくて
淡々と物語が静かに進んで
点と点が繋がって結末になってく感じ。

ただでさえ生きづらい世の中だけど
そんな社会には
いろんなレッテルがあって
そういうものが
よりこの世界を生きづらくしている。
だから自分じゃない誰かになりたいなんて
思っちゃうこともある。
でも他の誰かになれたとこで
本当の自分が消えることはないのかな。
今の世の中、
なんでも白黒ハッキリつけて
真実を突き止めるような社会になった。
それはいいことなんだけど
知らなくていいことも確かにあって
その知らなくていいことを突き止めた結果、
知らなくてよかったことが発覚してしまう。

だけどその事実を知っても
愛した人が殺人犯の息子でも
里枝は本当の彼を見ていて
彼を愛していたし
里枝の息子も
真実を里枝から聞かされても
大好きなお父さんであることは
変わらなくて
血は繋がってないけど
息子くんにとっても
お父さんはお父さんだった。
妹にもいいお父さんだったって
いつか話すって言ってて
この家族の繋がりは
本当に愛のある暖かいものだったな
っていう印象でした。
それとお父さんは
きっとお父さんにして欲しかったことを
僕にしてくれたんだ
って話もしていて
そんなところが
お父さんである彼の本当を
理解していたような
そんな彼の本質である優しい部分が
血の繋がりは別として
息子にも良い影響が
与えられていたように感じた。
本当にあの息子くん良い子すぎる。

大半の人が表面の見える部分で
人を理解した気になりがちだけど
それはあくまでイメージというか
見える部分によって
その人を判断してるだけで
本当のその人のこと知ってるってことは
そうとう間柄が深くないと
なかなかないと思うけど
イメージや自分の中で
その人はこうだって判断することは
その人の世界を生きづらいものに
してしまうこともあるから
目に見えるところだけで
この人はこういう人だって
決めつけるように判断する
社会や人々のあり方とか
いろいろ考えさせられた。

この作品の原作は知らないんだけど
そっちでは本物の谷口大祐のことも
もう少し詳しく(?)描かれているそうで
映画の釈とかの関係で
厳しかったのかもしれないけど
他の多くの方も書かれているように
本物の谷口大祐が
戸籍交換をしようと思った経緯とかも
もう少しあるとよかったなと
私も思いました。
だけどメッセージ性のある
深い作品でした。
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