タリホー

ある男のタリホーのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
その人をその人たらしめるモノは一体何だろう。

朝鮮人をルーツにもつ城戸章良は、親が死刑囚の原誠に不思議と惹かれる。後ろ指差される存在として親近感が湧いたのかもしれない。

全てのしがらみから解かれるために最後に頼るのは戸籍ロンダリング。完全にフィクションだとは思えないリアルさがある。

城戸章良は妻の浮気を知る。それは彼を繋ぎ止めていた糸が切れる瞬間でもあった。
バーで男に話す自己紹介は谷口里枝と暮らしていた谷口大祐のもの。限られた者しか知らない事実を利用し新たな人生を歩む。

ラストのバーのシーンが冒頭に繋がっていた。冒頭でカウンターに座ったスーツは城戸章良だろう。


役者のレベルがとにかく高い。冒頭、安藤サクラの涙で名作であることを予感させる。特に柄本明と妻夫木聡の2人の掛け合いが素晴らしい。
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