下手なホラーよりこういう人間の闇を描いているようなサスペンス・スリラーの方が怖い
人間の描き方が不気味なんですよ
でもそこに小籔みたいな演技力のあるお笑い芸人を投入してくれると少し緩和されるから、このようなタイプの映画にはどんどん登用してほしいと思った
夫婦として家族として一緒に過ごしてきた人間が別人だった時の気持ち悪さ
悲しみや寂しさだけでなく怒りも湧いてくるんだと思う
もともと寡黙だった大祐さんが里枝と出会ってすぐに別人のように明るくなっていた性格に少し違和感を感じていたが本当の彼の生い立ちを知るとなんとなく納得できる気もする
幼少期は友達を野球に誘うくらい活発な子だった印象が伺えた
しかし父親が一家殺害をしたあとは人が変わったように静かそうな人になる
でも里枝と出会って新しい家庭を築くと幼い頃のような本当の姿を取り戻す
明るい子どもだったから簡単にもとの明るい姿に戻れたんだと思う
この作品は人間は名前を簡単に変えられてしまうということだけでなく、環境によって性格も簡単に変わってしまうということも言っているように思えた
人間という１つの身体のなかにはいくつもの人格が混在している
だから結婚してても不倫もするし、本来なら相手にする必要のない死刑囚に対して好奇心を抱いたりもする
まさに最初と最後の絵がそれを象徴している
