Yuuka

ある男のYuukaのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
見終わった直後、「怒り」という映画に似てると思った。具体的には、
「自分が認識している相手というのは自分の理想や偏見に当てはめているだけで、実際はどうだかわからない」というテーマ、
複数の物語が交差する形式で、それぞれを繋ぐ役割の人・中心的な人物が劇の途中で登場する点
この2点について近いものを感じた。

好きなシーン
詐欺師の服役者との対話のシーンが不気味でとても良かった。
弁護士の主人公の奥さんが、はっきりとは言わないが主人公の出張を疑ったり、若干ヒスって「私が悪いわけ?」みたいな態度をとったりするところ。結局ラストで奥さんの方が黒だったわけだけど、「自分がやっていること(特に悪いこと)は他人もやっている」と無意識に決めつけ、誰も信用できない独裁者のようになっているのがリアルで良かった。

自分の価値基準を疑う機会も、他人の価値基準を知る機会もほぼ無い。当然自分の価値基準は、全ての人に、無意識に、前提として適応されている。劇中に出てきた絵画のように、自分は他人を鏡?で「客観的」に見ているつもりでも、見ているものは自分自身なのかもしれない。(映画の本旨からはずれるが。)
Yuuka

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