バカリズムの世界観はいつもハマる。
リサーチをせずにまるで自分の頭の中の想像力のみで作り上げたような脚本が妙に好感がもて、ウケるようでウケないようでウケるギャグもまた面白い。
あるカップルの結婚式のトラブルをウェディングプランナーが機転を効かせて解決するという業界系あるあるな作品ではあるが、このジャンルでありがちなイチャモンをつけるお客や病気で倒れる招待客とありがちなキャラクターはなく、どんな些細な登場人物にもバックボーンがあり、全員とまではいかないがある程度の過去が紹介される。
デパルマやソダーバーグを連想させるようなカット割に画面分割にズームの多様に加え、時間軸の巧みな使い方などコメディでありながらサスペンスのような緻密さもあり、所謂群像劇としての見所もある。
中でも最も良かったと感じたのがプランナー役の篠原涼子は冒頭はなかなか登場せずにかといって語り手のような役目も果たしておらず、トラブルによって頭角を表し矢張りこの映画の主人公であると感じさせたのも見事だと思う。
余談だが『金魚妻』で不倫することになる篠原涼子と岩田剛典だが、この映画では接点がない役柄というギャップも見どころのひとつ。
