こたつむり

ウェディング・ハイのこたつむりのレビュー・感想・評価

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)
4.2
♪ 幸せになってくれよな
  友よ 俺達の自慢のマブダチよ
  君を愛する誰もが祈ってる

飛ぶ鳥を落とす勢いのバカリズム。
観察眼が鋭いんですよね。的確に現代社会を風刺しつつ、それを笑いに落とし込むのでイヤミがなく(それでいて切れ味鋭く)楽しめちゃうのです。

本作もそんなバカリズム節が満載。
ご本人は出演せず、脚本だけなんですけど、十二分に存在感を示していました。

また、仕上げた大九明子監督もお笑い出身。
なのでコメディとの親和性が高いんです。『勝手にふるえてろ』や『私をくいとめて』よりも“恋愛度”が下がった分は“お笑い度”でカバーしてた感じでした。

なので、ここは素直に笑うが吉。
俗に言う“映画っぽさ”は少ないんですけど、そんな格式にこだわる作風じゃないし、下ネタに頼る部分もギリギリのラインで下品さを感じませんでした。あれは効果音のお陰でしょうか。にゃー。

思うに、初期の三谷幸喜監督っぽいんですよね。
全般的に漂う“ほのぼのさ”も似ている気がします。21世紀の作品らしく、全方位に気を遣っている部分はありますが、ギリギリのラインで毒も仕込んでいますし。

なので、やっぱり素直に笑うが吉。
テーマが結婚なんでツッコもうと思えば色々とツッコめる内容なんですが(「結婚式が人生で一番幸せな日」というセリフに思うところはありますが)堅苦しいことを考えない方が良いのです。

まあ、そんなわけで。
大九明子監督作品というより、バカリズム作品として捉えた方が良い作品。巷の評価は低いのは、これまでの作風(女性の共感を誘う感じ)と違うからかもしれません。

なのでオススメ層は、やっぱりバカリズム好き。
少しの毒と鋭い切れ味の笑いを求めているならば、間違いなしの逸品だと思います。ただ、群像劇なので、主演の篠原涼子さんだけを愛でよう、という向きには合いません。悪しからず。
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