Shohei

香川1区のShoheiのレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
4.8
「なぜ君は総理大臣になれないのか」の続編。前作は小川淳也氏の活動に焦点が当てられていたが、今作は政治やメディアを問うものとしてスケールアップしている。

まず、物語としておもしろいのが、小川氏、平井氏が対極であり、生まれも、立場も、選挙活動もどこもかしこも違う。純粋無垢な小川氏、かたや絵に描いたような悪代官像が滲み出ている平井氏、ベタ過ぎるぐらいの対比となっている。ドキュメンタリーだがそういうエンタメ性に引き込まれる。
唯一、共通していたと感じたのが、両者とも追い詰められ、バランスを崩す部分が人間らしいというか、生々しい。そこに、監督の取材により、きな臭い出来事が明るみになっていくのだから目を離す隙間がない。

また、デジタル庁創設時に既得権益と戦ってきたと豪語する平井氏。一方、選挙では頬ずりするように既得権益へ縋っているさま、小川陣営のSNSなどを活用した民衆に崩されていく様子など、アイロニカルで滑稽にすら見えた。これも対比がうまく出ている。

そして、娘たちの言葉が随所で重く響いてくる。小豆島へ出向いての選挙活動、勝利後の長女の言葉には涙が出た。

当たり前だが映画が終わっても物語は動き続けている。今後、日本中に香川1区、東京8区の様な選挙区が増えることに違いない。もっと関心を持って見てみよう。
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