kuu

さがすのkuuのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
3.8
『さがす』
映倫区分 PG12.
製作年 2022年。上映時間 123分。

やっぱりかぁこの作風は!!
『岬の兄妹』の片山慎三監督が佐藤二朗を主演に迎え、姿を消した父親と、必死に父を捜す娘の姿を描いたヒューマンサスペンス(サイコパス系ともとれる)。
智役を佐藤が、伊東蒼が楓役を演じるほか、清水尋也、森田望智らが顔をそろえる。

大阪新世界の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。
『指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで』と云う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。
しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。
西成のポリスからも『大人の失踪は結末が決まっている』と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。
やがて、とある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知らない若い男だった。
失意に沈む中、無造作に貼りだされていた連続殺人犯の指名手配チラシが目に入った楓。
そこには、日雇い現場で出会った、あの若い男の顔があった。。。

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探しものは何ですか
見つけにくいものですか
机の中もスマホの中も
探したけれど見つからないのに
まだまだ探す気ですか
それより僕と踊りませんか
夢の中へ夢の中へ
行ってみたいと思いませんか
フフフ~フフフ~
・・・さあ

休むことも許されず
笑うことは止められて
はいつくばってはいつくばっ
いったい何を探しているのかて
探すのをやめた時
見つかることもよくある話で
踊りましょう夢の中へ
行ってみたいと思いませんか
・・・さあ。
(井上陽水さんお借りします🙇‍♂️)

今作品は捜査特別報奨金(一般には懸賞金かな)300万円を手にするために指名手配中の連続殺人犯を捕まえようとして姿を消した父ちゃんと、不安と孤独を押し殺しながら父ちゃんを探す娘の姿を描いてます。
捜査特別報奨金で記憶に新しいのやと、建設会社からの通報でパクられたリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件犯人の市橋達也(唇まで切ったのにって、佐藤二朗の唇を切っちゃえ🙇‍♂️)。
結構前なら、
福井市に潜伏していた1997年、市内のおでん屋(今は探したけどない)の店主から提供されたビール瓶とマラカスから採取された指紋が決め手となり、逮捕された福田和子(ガキの頃悪いことしたら、姉ちゃんに福田和子が来るでって云われただけでビビりまくった)。
5459日間逃走して時効まじかやった。
等々を思い出させるが、
今作品は介護する方、される方の切実な問題や、自殺志願者(そこにつけ込むクソヤカラ)、イカれた連続殺人、そして貧困家庭問題、等々の暗黒部分を実にねちっこく描いている。
佐藤二朗のタコチュー唇を想像してください、そのねちっこさが全面にでてます。
佐藤蛾次郎のアフロよりウザイ。
そのウザさを突くのが監督のパターンやし、テクやろし小生はまんまと嵌まってしまいましたが。
描く材料が難しい問題やし、またその材料に手塩にかける監督が監督だけに、清涼感は皆無でした。
希望もまた皆無に等しく(エンディングには多少無いこともない)、生蛸やナマコのヌメリを起想させる様な生々しいモノばかりを俎板にのせて、刺身のツマや薬味を忘れて出された様な作品やったかな。
だから、生物にアタリやすい方は
その点はご留意の上ご覧になることをお勧めします。
ただ、ワサビはかなり効いてたし最後はツぅーんときて個人的には泪がでたかな。
また、『岬の兄妹』でも感じたけど、現代の暗部を材料にして、別々の物語の流れを重ね合わせるなどは、嵌まれば絶妙に思えるかも知れませんが、個人的には問題提起がアチコチ飛びすぎて訴えが薄れてる様に感じたかな。
ただ、最後まで飽きさせへん展開は実に善かった。
また、残虐シーンから親子の愛情と繋がり難いとこを、善きホラー映画の様に絡めてたのは巧みかな。
役者陣も、主役の佐藤二朗はそのままのキモいオヤジながら存在感をだしてたし(タコチュー唇はグーパンチ入れたくなった)、その娘さん役の伊東蒼も、大阪新世界に居そうなチョイ生意気でも、思春期の女子中学生特有の揺れ動く感情を真摯に表現していました。
清水尋也のリアリティさは寒気と吐き気がするほどやったかな。
かなり衝撃的な展開の連続で、感情が追いつかないながら、また、胸くそ悪くなりながら観終えて、はぁ疲れました。
死に対する考え方は、冒涜にもとれるがフィクションとして見たら斬新でした。
また、ラストも衝撃的。
卓球のラリーの玉がなくなる演出は秀逸。
今作品はメチャ残忍ではあるけどおふざけエンタメ要素もある。
色んな点で今作品を受け付けない方も居るとは思いますが、そんな時は是非とも停止ボタン押して、気持ちに余裕ある時にでも見て欲しいし、そうじゃなきゃ個人のお蔵入りもアリやと思います。
サクッとサクサク観るような作品やなかったのは確かです。
あくまでもモチーフなしのフィクションであるなら個人的には悪くない作品でした。
kuu

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