このレビューはネタバレを含みます
やっと鑑賞。冒頭、ハンマーを素振りする智が現れた時はちょっと『オールドボーイ』を思い出した。
原田智が根っからの悪人とは思えない。妻が難病になってなかったら今も大阪の下町の片隅で楽しく卓球をしてたのだろう。だが結果的に彼は二人も殺害している。
殺人を犯す人とそうでない人の分かれ目はとても曖昧で、背中合わせというべきか、一線を一度でも超えてしまったらわりとすんなり同じことをすることも厭わなくなってしまうのかもしれない。
人はこうやってあちら側の人間になってしまうのだなあと。自分だって条件が揃ってしまえばそうなってしまうかもしれない。果凛島で娘と父が再会できた時、楓は智を『さがす』ことができたのだと思っていたけど、実はそれは間違いであの時まだ父は帰ってなかったんだな。最後の最後、サイレンの音が聞こえる中、卓球をしながら親子で涙した瞬間、やっと娘の知る本当の父親が帰ってきたんですね。
伊東蒼さんは言うまでもなく天才。これから彼女の作品をたくさん観ることができると思うだけで幸せだ。日雇い現場で煙の中から清水尋也さんが現れる場面は思わず唸る名シーンだった。
品川徹さん演じるAVマニア変態おじいちゃんが出てきた時はにんまり。フォロワーさん達が噂してたのこの人のことかと笑いましたｗ
