このレビューはネタバレを含みます
家族の失踪、貧困、介護、安楽死、サイコ殺人鬼、自殺誘引、SNSの闇…
盛りだくさんすぎる。
重すぎるテーマを次々と突きつけられ、ショッキングな映像を次々と見せられて、見終わったときにはぐったりしてた。
家族の失踪をきっかけに浮き彫りになった安楽死の問題や、大義のための善意の殺人、だけならシンプルな社会派映画になったのだろうが…
さらに犯人(山内)が快楽殺人者で、自殺志願者をSNSで募って… とまた別の問題が絡んでくるので、ちょっと詰め込みすぎな気がした。
介護職員の山内をあんなキャラにする必要あったかなぁ?
現代社会に切り込むシリアスな社会派映画に、扇情的で悪趣味なエログロ猟奇サスペンスをくっつけたような、違和感。
それにしても、希望がない。
障害も介護も綺麗事ではなく、いっそ死んだほうがまし、という気持ちにならざるを得ない現状はひしひしと伝わる。
でも、これではまるで、こんな病気になってしまったらもう死ぬしかない、と言っているようなもの。
父親が娘の存在をないがしろにして、娘を捨ててまで殺人行為に加担するのも説得力に欠ける。
父親の妻への愛情は伝わってくるが、父親の娘への愛情、母親の娘への愛情が伝わってこない。
あと、最後の自作自演はいくらなんでもバレると思う。手袋どこに隠したんだろ?
「さがす」の本当の意味や、構成、伏線、細かい演出など、非常に上手く作られた映画だと思ったものの、なんだか腑に落ちないところが残った。