このレビューはネタバレを含みます
片山監督作品、前作『岬の兄妹』に、心臓を鷲づかみされたかのような衝撃を受けた身にとっては、今作も覚悟していましたが、それのはるか上を行く衝撃で、十分に考えさせられる作品でした。
監督はポンジュノ監督の助監督をされていたということで、『あゝ、なるほどなぁ…。』と思わされます。
ALSという非常に重たい病気を、お涙頂戴的な描き方ではなく、ありのまま淡々と、ともすれば突き放したような描き方がされています。どこまで実態に則しているのか、実際にそうした境遇に置かれた当事者にしかわからないことでしょうが、本人や家族の精神的苦しみが痛々しくて観ているのが辛かったです。
前作とも共通する社会的弱者のリアル感がよく描かれていると思います。
後半はサイコパスホラー。エンタメ性も加味しようということなのでしょうが、これも実際の事件がモチーフになっているのでしょう。ある意味社会的な問題でもあり、この点でもやはり単なるホラーということ以上に考えさせられるストーリーでもあります。
しかしそうは言っても、全体的に重たい空気はなく、そこはかとなくコミカルさも漂っているあたりは、ポンジュノ監督の代表作を彷彿とさせます。