こりゃすげえわ...
題材は座間の連続殺人事件かと思うんだけど
犯人の特徴、「本当に死にたがっている人は誰もいなかった」の発言、クーラーボックスで遺体を保管しているところまで割とあの事件そのままに感じる。
事件が2017年で映画上映が2022年だから5年で監督は痛ましい事件をこの映画に昇華してくれたわけでしょう。すごいよ。私はテレビ越しに心を痛めることしかできなかったわけだから。
そしてそれを大阪、西成という特殊すぎる土地に収めようという発想。すごすぎる。西成ってやっぱり特殊すぎる。客観視した時、現代社会に本当にこの街が存在しているのか疑うレベルに異世界だ。あの空間だけ戦後間もないようにすら感じてしまう、建物が密集した感じ、退廃してそのままにされている廃墟、人情の厚さ。二つとないですよあんな特殊な街。
そして本当に死にたい人はいるのか。
座間の事件の時は犯人は「そんな人誰もいなかった」と言ってたけど
劇中の奥さんが尊厳を失ってまで生きていくことの辛さをあれは確実に本音で殺してほしいと言っていたし
最後の最後にやっと死ねた依頼者の女の子も、あそこまで死に執着しているのであれば「死にたい」は本音だと私は思う。
世の中にはいろんな理由で生きることがとにかく苦しい人がいる中で「生きろ」というのは時に殺すことより残酷かもしれないけど
殺すことを肯定してはいけない。
それがお父ちゃんが最後の最後に大どんでん返しをした本当の心情であってほしいし
楓ちゃんがお父ちゃんとお別れになるとわかってても、お父ちゃんを警察に突き出した意味だ。
