SNSで自殺願望者を探し出し、呼び寄せ、殺害し続けてきた「座間9人殺害事件」をモチーフにしながら貧困や介護疲れ、空き家問題などの社会問題を一緒に煮詰めたような作品。
心の闇をさらけ出そうとする居心地の悪さを感じながら、予想外の方向に進行するサスペンスめいた展開にゾクゾクさせられて面白かったです。
そして佐藤二郎の演技が冴え渡っていました。いつものアドリブをウリにしたコミカルな調子だと気持ちがついていかないのですが、本作の演技には心を揺さぶられるものがありました。
「連続殺人の指名手配犯を電車の中で見た」というダメパパ（佐藤二郎）は濡れ手に泡の懸賞金300万に随分と関心ありの様子。そんなダメパパに「アホなこと考えんと普通に働きいや」と一蹴するしっかり者の中学生の娘（伊東蒼）。
この貧しい父子家庭のけっして仲悪そうでない親子関係を冒頭で印象づけさせながら、突然失踪してしまったダメパパを“さがす”ことで知りたくなかった父のイヤな部分も露わになっていく、って話。
イヤな気持ちにはなりますが、過去を遡っていくことで真相が判明していく構成に「そういうこと？」ってさせてくれる、まるでパズルのピースが埋まっていくような感覚は気持ちよかったです。
