ひこくろ

真島ミヤビのひこくろのレビュー・感想・評価

真島ミヤビ(2021年製作の映画)
4.2
物語の種みたいな映画だった。

15分弱の短い作品のなかに、面白くなりそうな要素がこれでもかと詰め込まれている。
出逢うのは後悔を抱えた青年と、同じく後悔している中学生の少女。
二人は互いを恋した相手、それは後悔の相手でもあるのだけど、と感じている。
でも、お互いに面識はない。

出逢っている場所が夢のなかなのか現実なのか。
これは青年の物語なのか、少女の物語なのか。
彼らはなぜ同じような気持ちを抱き、なぜつながれないのか。
15分弱で語られることはあまりにも少ない。
だから、ほとんどのことは何もわからない。

唯一、わかるのは、お互いの時間軸が違っているらしいということだけ。
それも、どう関係してくるのかもわからないし、本当なのかもわからない。

わからないんだけど、その匂いだけは確かにあって、ここから物語が始まるんだと予感させる。
もっと言えば、この映画の要素を練りに練って長編として仕上げたら、きっと面白い作品になると思わせるだけの魅力がある。
映画としてはイメージやアイデアだけが先行した、未熟なものでしかないのかもしれない。
それでも、この映画の先にある可能性にはたまらなくワクワクさせられた。

ぜひこれを長編で観たい。
そう強く思わされた作品だった。
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