たかちゃん

有り、触れた、未来のたかちゃんのレビュー・感想・評価

有り、触れた、未来(2023年製作の映画)
2.2
監督は、「命の大切さを伝える、力強い作品を作りたい」と語っているが、登場人物はボクシング、演劇、太鼓、バンドで自己表現する。だが、それらが明日の、未来の希望を象徴するものなのか。そしてアル中(立ち直る)や癌(亡くなる)と闘う姿は元気をもらうどころか、落ち込んでしまう。登場人物は居酒屋で酒を飲んだり食べたりする場面が多い。会話も座らせたまま言葉を交わすだけで、会話に芝居がなく、単調で退屈。保育園のうさぎは何の暗喩にもなっていない。登場人物が多いので、どの人物にも焦点が定まっていない。どの人物も観る側の琴線に触れることがないのが辛い。娘が父親に「ごめんなさい」と言うのも、心の変化のプロセスが描かれていないから、唐突さは否めない。本作には、悪人が登場しないし、会話に悪意が込められることもないので、毒気がなく、展開に盛り上がりがない。本作は見る側の気分次第で、落ち込んでいれば元気をもらえるかもしれない。幸せな気分のときは、逆に落ち込ませるかもしれない。
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