むっく

有り、触れた、未来のむっくのネタバレレビュー・内容・結末

有り、触れた、未来(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 誰かと誰かはどこかでつながっていて本人同士は分からないけど助け合っている。自分の行動が何に影響しているかは神のみぞ知る。でもそこに人のあたたかみと希望を感じられる。誰もが痛みを背負っていて苦しいけどまわりの人間の関わりを通して乗り越えていける。有り、触れた未来を大切にしていきたいと思える映画であった。今まで会った人とは疎遠になってしまってることも多いけど確かに存在していた。触れることができていた。そこから自分を変えることができた。確かにあったものが自分を変えた。何も行動しなければ何もかも消えてしまう。体験したり言葉にするから思い出せる。そこからうまくいくそうな選択をすることができる。今を大切にしたいと未来も大切にできない。未来のために今があるのではなく,未来に楽しみがあるから今を懸命に生きられる。
 前進あるのみ,と年齢のハンディキャップをもろともせずに立ち向かっていくボクサー。対戦相手から強烈なパンチを喰らいダウンをするもなんとか立ちあがろうとする姿に涙した。ボクシングの試合はたとえやったことがなくても応援したくなる。相手のパンチが原因で選手生命を失うが,弟と妻の存在のあたたかさで彼は救われる。
 津波で息子の妻と息子の子供を失ったおばあさん。生き残った娘が学校に行きづらくなっていて,学校の職員の心無い言葉の刃から息子の娘を救おうとする。もう傷だらけ。生きてるだけで頑張ってる。だから簡単に頑張ってなんか言えない。そのお婆さんの大きな姿に涙した。
 そのおばあさんの息子は家族を2人失い,酒に溺れる10年間を過ごす。仕事もろくにいっていない。死にたいと呟く。ある日,娘から私が死ねばよかった?と言われる。その後酔っ払って道に倒れていたところヤクザに救われる。ヤクザから落ちる時はどこまでも落ちる。今あるものを大事にしないとそれさえも失うと言われる。それから自分の同僚のボクシングの試合を見て倒れても相手に立ち向かって前進する姿に感銘を受け改心する。アルコールを断ち娘とも和解しようとする。最初は娘には受け入れられなかったが,少しずつ親子の関係を取り戻していった。
むっく

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