いのち
自分の命
家族の命
失うもの
それは亡くした悲しさだけでなく、そこからどのように生きていくか、生きていけるかをこの作品は問いかけてくる。
消失感から自らも命を放棄しようとする者
アルコールに逃げ、荒れた暮らしをする者
それぞれが事情を抱え苦しんでいる。
みんな望んではいなかったはずだ。
そして「平凡」と呼ばれる生活の中ではそんな未来が待っているなんて想像すること無く、この災害に呑み込まれてしまう。
東日本大震災から10年後の宮城県が舞台。
大切な人を失い、悲しみからそれぞれが辛い生活を送っている登場人物達。
複雑に折り重なり交差する群像劇。
後半からラストにかけての力強さに人が生きる力、生きて欲しいという監督の強い思いが「これでもか!」と発せられているようなエネルギーのある作品でした。
~~~~~舞台挨拶~~~~~
監督
若者の俳優の自殺が相次いだ年に自分に何が出来るんだろう?と思った。
不登校者が24万人もいる。
この作品の中の帰って来ない子の為に鯉のぼりを上げ続けてる青年の話を聞いて、この作品を作ろうと思った。
立ち止まっててもいい、頑張って学校に行かなくてもいい、命さえ断たなければ、と思う。
原作者
自分の中では鎮魂。
あの中でも自分を支えてくれたのは子供達の笑顔。
子供哲学:道徳の教科書なんか読んだって癒されない。安心で安全な場所で本心がやっと話せる。
震災の時は抱き合う事が出来たがコロナ禍ではそれも出来ない。
原作か原案かで迷った。この監督の感性なら原案でいいかと思った。
山本さんだったら託せると思った。
未来に繋がる映画で出来上がった時は体が震えた。
曖昧の喪失
サヨナラのある別れとサヨナラの無い別れがある。