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幻滅のkakkoのレビュー・感想・評価

幻滅(2021年製作の映画)
3.8
 
「パリでは悪質な人間ほど高い席に座る」
バルザック原作。1820年代王政復古時代のフランス年代記。しかし、まったくそのまま現代の物語として見ることもできるのが面白い。
 詩の世界で成功することを夢見てパリにやってきた田舎の文学青年リュシアンは、世間知らず故に大都会の裏側に巣食うメディアの虚飾と腐敗、階級の厚い壁、享楽的な性愛に翻弄され飲み込まれていく。極端な成功とどん底への転落の経験を経て"幻滅"を味わい、大人の社会に目覚めていく。
おぞましい人間の本性をこれでもかこれでもかとえぐり出すバルザックのストーリー展開は息つく暇もなく、2時間半飽きさせません。フランス文学らしい人間臭さ満々の人間喜劇。フレンチイケメン、美女もいっぱい。
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