【第47回セザール賞 作品賞他全7部門受賞】
『偉大なるマルグリット』グザヴィエ・ジャノリ監督がバルザックの「幻滅—メディア戦記」を映画化した作品。セザール賞では作品賞など全7部門を独占した。
悪くない。豪華絢爛なフランス時代劇として見応えがある一作。2時間半というのは少し長すぎる気はするが、青春暗黒ドラマとして濃密。欺瞞や悪意に満ち溢れたパリを存分に描いている。
文学を目指し田舎から出てきた青年が出版業界、演劇業界に足を踏み入れ成功と転落を経験する物語。
ジャノリ監督の作家性というのはあまり感じないが、ダークな人間ドラマをしっかりしたプロダクションとともに描ききっている。ヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドラン、セシル・ド・フランスなど実力派が集った演技合戦も見応え十分。主演の『Summer of 85』バンジャマン・ヴォワザンも繊細に演じていてよかった。
この時代のパリがまとっていた空気を退廃的に演出したジャノリ監督はとてもいいし、美術や衣装もさすが。闇に呑まれていく青年を通してジャーナリズムや芸術を的確に描いている。詐称や買収がはびこりすぎてそれが日常になっているパリ、どうしようもなく青年は墜ちていく。
まぁ特に好きなわけでもないが、それなりに予算もかけた時代劇として十分な出来映えではないだろうか。