木蘭

フリークスアウトの木蘭のレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
3.8
 『タイガーマスク』『鋼鉄ジーグ』をモチーフにした監督の新作は『ファンタスティック・フォー』(いや、むしろ『X-MEN』か)。

 「神から与えられたギフトを受け入れ愛さないと、自分も周りも不幸にするよ」というメッセージを体現した・・・自己愛が強く、望むモノに成れない現状を憎み、望みを叶えた結果、本当に大切なモノを全て失う悪役のキャラクター造型は不変。主人公達より目立っちゃうのも、不変。

 とにかく主人公達や悪役だけでなく、フリークスや戦傷を負ったパルチザン兵など、異形のおもしろキャラがてんこ盛り・・・なんだが、てんこ盛り過ぎて一人一人を生かし切れていないし、物語は散らかるし、突っ込みどころも満載。
 特に主人公の四人の能力が物語の中で生かされていない。

 ・・・等と不満に感じていたら、終盤のクライマックスで「ごめんよ。お前等こういうのが見たかったんだろう?」とばかりに炸裂。
 たかだが1個小隊いるかも分からないドイツ軍とパルチザンが大戦争を繰り広げ(こんなに強そうに描かれたドイツ軍の四輪装甲車があっただろうか?)、最後は力業で終劇。

 それと下半身ジョークの際に、股間にぼかしが入らなくて良かった。

 雰囲気や社会の片隅に追いやられた人々を描いているファンタジーという点で、スペインのアレックス・デ・ラ・イグレシア監督を想起させるのだが、マイネッティ監督は視線に優しさを感じるんだよね。
 自分が好きな映画やコミックのネタを織り込むのにも、結構ダイレクトだけど、不思議とこれ見よがしではない愛情を感じるし。
 予算が増えたけど雑だな・・・とは思うんだけど、嫌いに成れないんだよなぁ・・・困ったなぁ。
木蘭

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