April01

ロスト・ドーターのApril01のレビュー・感想・評価

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)
4.3
母性を過信する風潮への戒め
母性神話へのアンチテーゼであり抵抗
母性についてのもう一つの真実・リアリティ

美しくない、正しくもない、苦しみを伴う、批判もされる
けれど、事実なのだから仕方ない

どんなにいい母親として存在していても、そこに自分の存在意義を見出しても、それを誇らしく思っていても、それが演技であると感じる瞬間は絶対にある。

その瞬間に起きていることを、瞬間ではない女性の実体験として、具体的に描いている。
これをやられたら女性は辛いよね。
でもこの事実を女性自ら描くこと、そこに深い感動を覚える。
よくやってくれた、という気持ち。

母性という縛りから女性を解放してあげれば、もっと生きやすくなるのではないか。
そんなメッセージの込められた作品だと思う。

子供への愛がある一方で、解放を願う気持ち
それを表明したら白い目で見られる、だから言わないけれど、この作品が上手に描いてくれている。
主人公を批判する人は、わかっていない。
愛と解放は同時に存在しうる複雑な感情だということを。

今作が初監督となるマギー・ギレンホール、彼女のリアルご主人ピーター・サースガードが本作に出演していて、ひと昔前の映画界だったら、男性監督が好き勝手にお気に入りミューズを女優としてシリアルに起用するのが当たり前で、まあ今もあるかもだけれど、その逆が今実現してきてるんだな、と時代の変化を感じる。
April01

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