みーちゃん

ロスト・ドーターのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)
3.9
二回続けて観た。現在と過去が交錯するから映像は複雑で凝った作りになっているものの、描かれている事実はシンプルで、一回目で何が起きたかは分かったけれど、なぜ起きたのかを確かめたかったのと、まだ自分の気持ちを整理できなかったから。二回目の方が良いと感じた。

心が痛いが、この痛みや感情を言語化することは出来ない。他者に対して、いや、自分に対して、どんな言葉で説明しようとしても違う。だから、それをリアルな身体の痛みに転じたところが巧い。

冒頭から音楽の使い方も印象的。特に母親が幼い姉妹にオレンジの皮を剥くシーンは、これをねだった子供の気持ちとジェシー・バックリーの表情が、Roberta Flackの"I Told Jesus"と相まり、胸に刺さった。

オリヴィア・コールマン、ジェシー・バックリー、ダコタ・ジョンソンが演じた三人(本当は二人だけど)の人物描写は、衣装も含めて素晴らしく、その日その時に、彼女達が体現する存在そのものに説得力があった。