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ロスト・ドーターのshunのレビュー・感想・評価

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)
3.7
アカデミー賞3部門ノミネートということで観てみました。マギー・ジレンホール初監督でこれは凄いな…

オリヴィア・コールマン、ジェシー・バックリー、ダコタ・ジョンソンの三女優が素晴らしい仕事をしてる。前2者は同じ人物の現在と若い頃を演じそれぞれ主演と助演にノミネートしています。オリヴィア・コールマンはもう賞レース常連ですね

ダコタ・ジョンソンもとても良かった。この人は「フィフティ・シェイズ」以降順調にキャリアを築いていってる気がします。軽いラブコメのヒロインからこんなシリアス映画でインパクト残せちゃうのはさすがです。作品選びの上手いエージェントがいるんだか知らないけどこのまま頑張ってほしい。

育児に押し潰されて心が壊れてしまう女性を描きます。少女たちが天使のようにかわいいのだけど彼女らの無邪気さや母への愛さえもがレダにとっての「苦しみ」になりじわじわと追い詰めていく描写が辛く怖かった。
命を育てることの責任の重さ、母と娘の在り方や母性とは?ということを色々と考えさせられました。

父親ももちろんいるんだけど彼についてはほとんど掘り下げられない。母と娘たちが中心の世界ができていて、そこにどれだけ父親が関わっていないかを伝えたかったのだろうか…
彼はもちろん妻の仕事への理解もあるし娘想いな様子も伝わってくる。でもそれだけでは全然足りなくて、結局はどこか自分中心なところがあるんだろう。本人は認めないだろうけど自分の仕事の方が妻の仕事より重要だ、みたいな?
育児でパンク寸前になるのもそれで攻められるのも結局「母親」であり「女性」であったレダ。そしてこの映画は同じことが世界中で起き続けている事実を突きつけてくるものだと思う。

育児の現実が緊張と共に伝わってきて、それと同時に現代パートのバカンスでの不穏な空気もあってなかなか観終えることが出来なかった。何日かに分けて観ましたが途中で諦めなくて良かったと思います。
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