ボギーパパ

パワー・オブ・ザ・ドッグのボギーパパのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
3.9
2022-18 Netflix

アカデミー賞12部門ノミネート。
映画館で観れば良かった〜。近場では上映していないのでまたの機会を待ちましょう。

1920年代アメリカ・モンタナの牧場経営者兄弟フィル(カンバーバッチ)とジョージ。兄はイェール大卒ながらも素手で去勢術もしちゃう粗野なカウボーイ。弟(ブレモンス)は落第生ながらも優しい?穏やかな男。しかし兄には何も言えない弱気な男。

そんな弟が立ち寄った食堂の未亡人と結婚。兄は不快感丸出しに義妹になったローズ(ダンスト)とその子ピーターに辛く当たる。ローズは酒に逃げ込み、ピーターは大学へ行き医者を目指す。

って半分程観てもなんの話かわからない。西部劇にしては比較的新しい時代のものだし、どうにも違和感が拭えない。

転換点は第4章。フィルの秘密をピーターは触れてしまう。

そして5章。フィルの態度がコロッと変わる。妙にピーターに優しくなり、、、、、、
ところが!


と、ここまで来てようやくわかった。これはサスペンス映画なのだということが。観ている側を宙ぶらりんな状態にした文字通りのサスペンス。最後まで観ることによって、そこまでの遠大な伏線張りがわかる。凄い脚本だ。1〜3章までの丁寧な下地作りが、ラストの急展開の骨格となり、立体感があるというか、深みがあるというか、凄い映画の土台となっている。

細かいことは言えないが、、、
カウボーイの世界のホモソーシャル感を全面に出し、ピーターのか弱さを際立たせ、急にフィルが優しくなって、、、あっちの世界へ行くのかと、観る側をミスリードし、最後は誰もが納得いく仕組みと構成にもっていかれたことは驚かされる。

そしてそもそも1925年という時代設定も、第一次大戦後であり、なるほど本作のトリック?の背景がこの時代でなければ説明もつかないし、使えないだろう。よく出来た話として感心。配信ではなく劇場で観たかった〜。アカデミー賞受賞したら記念で是非お願いしたい。





以下蛇足。

ローズがピーターに櫛の歯を弾く音が嫌いと言ってからの効果音BGMが細かい音符の連なりになったり、細く裂いた生皮が・・・印象的でありました。

もしかして、ピーターは・・・も?
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