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パワー・オブ・ザ・ドッグのrensaurusのレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.1
アメリカ西部の原風景のような雄大な自然と、ウェスタンな建築様式で建てられた木造住居が美しい。大牧場を営む人々の生活模様も眺めることが出来、ロケーションと映像美がとてもよかった。

物語は、知性的で強権的な男性性を振り撒く大牧場主のフィルが、弟ジョージの結婚をきっかけに、新妻のローズとその息子のピーターと交流するようになり…という内容なのだが、先が読めないストーリーラインと、徐々に浮かび上がってくるこの作品の蘞味、感情をあえて分かりにくく描くことなどによって、不思議と引き込まれる雰囲気を醸し出していた。

女々しく、純朴そうなピーターが、したたかに、魅惑的に、理性的なフィルを誘導してゆく過程が描かれ、ピーターの母への歪んだ愛や、フィルの抑え込まれたリビドーの解放が美しくも生々しく演じられている。

弦楽器、管楽器、ピアノ、ギターをミニマルに使用したジョニー・グリーンウッドによるサウンドトラックが、不穏な空気作りの後押しをしており、映画の内容と相まって絶妙な魅力を放っている。
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