深沢七郎『東京のプリンスたち』を映画化するとしたらこの映画こそまさにそんな青春を捉える事に成功した映画ではないかと思う。
仲間と集まり、音楽の話をして、周りの客をおちょくって退散する。ただそれだけで感動する。
空間が変わるたびにハッとする編集が、乗馬で駆ける女を並走する車で口説こうとする画面の渇きと運動感へ繋がったとき、心の底からやられてしまった。
70年代を超えて、80年代に真の青春映画があるとしたらこの映画だと思う。
普段セリフとはなるべく距離を取り映画に触れようとはしているけど、
「デートの時シナトラとマチス、どっちをかける?」「プレスリー」
なんて台詞のやり取りはどうしたって反応してしまうだろ……。
プレスリーだけ聴けるダイナーで過ごせたらどれだけ楽しいか。もちろんシナトラもマチスも好きだけどね!