半兵衛

ダイナーの半兵衛のレビュー・感想・評価

ダイナー(1982年製作の映画)
3.8
20代中盤の、あの独特な青年と大人のあいだを彷徨う宙ぶらりんな気分を緩くも優しく描いた作風が不思議と若い頃の自分を見つめているような気分になり、恥ずかしさと懐かしさと苦笑が入り交じる不思議な気分で映画を鑑賞できた。舞台となるレストラン「ダイナー」での馬鹿馬鹿しいやりとりも、違う国でもあの年代はこういう話題で盛り上がるんだなと感慨深くなる。

役者もみな適役で、なかでも若い頃のミッキー・ロークやエレン・バーキンが見もの。

使われる音楽のセンスも良くて、50年代という時代設定でよくある懐メロ使いすぎ問題を巧みに回避してノスタルジアに陥っていない作りも好み。

ひたすら若い頃のゆるゆるでアホなエピソードばかりなのでメリハリはないが、そんな彼らの空気感がここちよいので最後まで楽しめた。

ラストでの結婚式のやりとりも楽しいが、最後の映像を見るとこれは過去の出来事になってしまったんだよなー、結局こういう時期は嫌でも変わるんだよなと複雑な気分に。エンドロールを劇伴ではなく主人公たちの他愛ないやりとりを流すのも◎。
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