女性には選択肢はない。
すごい映画だった。中絶を扱った作品はいくつか見てきたが、これほど生々しく描いたのは初めて見ました。最後は怖すぎて、帰り道でも脚がガタガタ震えているような感覚さえした。
本作を見た人には、同じく中絶が違法だった時代に非合法で中絶の手助けをする女性を描いた「ヴェラ・ドレイク」も見てほしい。そして考えてほしい。ちなみにこちらもヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。
本作を見て、中絶は女性を守るために認められるべき権利だと強く感じた。今年アメリカで中絶に関する判決が覆されたのなんて、あまりにも時代錯誤で唖然とする。アンヌが12週間に及び、あらゆる手段で何度も中絶を試みるが、その様子が痛々しい。こんなに見せるのかと驚くほど全てを見せるので、本当に痛いし、心も痛む。レーティングもR15で大丈夫なのか？と思ったほど。
不公平よ。妊娠させた男性は何にも変わらないのに、妊娠した女性はこれほど追い詰められ苦しむ。医師が男性であったのに対し、中絶の処置をしたのは女性だった。先述した「ヴェラ・ドレイク」でも女性。(本作でのあの女性はヴェラよりも怖い印象を持ちましたが。)女性の苦しみを理解し、逮捕される危険を冒してでも女性を助けようとするのは女性。劇場には男性も多く来ていましたが、男性にもっと多く見てほしい作品です。
他の方のレビューで知りましたが、主演の女優はヴィオレッタのあの子なんですね！めちゃくちゃかわいいまま大人に成長しましたね〜
