Kawaguchi

あのことのKawaguchiのレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
4.3
本作において「身籠る」などという言葉は一切使われていません。それは未来を受け入れる意味合いを含んでいるから、消滅させる決心をしたものにわざわざ名前をつける必要はない、だから、邦題は「あのこと」と過去形なのでしょう。
個人的には原作通りの「事件(happening)」でも良かったのでは、と思いつつ。

「中絶」を法律で規制したとしても、
数は減らず、イリーガルで危険な「中絶」が増えるだけ。

女性にふるわれる暴力、男性の特権性、生まれ落ちた社会階級による選択肢。前途有望な女性の妊娠によって、それぞれが絡みい、主題が浮き上がってくる。

原作と比べ時代性を、ある程度排除しているのは、
世界が右傾化し、(アメリカでは実際に)妊娠中絶の権利が脅かされてる現代の物語だから。世間の一般の人々は法律に従って判断をするのであって、法律を判断するのではない。
Kawaguchi

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