ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した作品なので注目してました。原作はノーベル文学賞になってたのですね。
原作の「事件」は自身の実話を基に書き上げたそうで。監督も原作に忠実に撮ったとあるので、作家のアニー・エルノーの実体験が色濃く反映された作品なんですね。
まず特徴的なのが、スクリーンサイズが4:3になっていること。この窮屈さはまるで主人公アンナの困難な状況を表現しているかのよう。
そしてカメラワークもかなり俳優寄りになっており、臨場感を際立たせている。音楽もアンヌの心情に合わせ、暗く静かめな曲調が多かった。
こうした演出が重なり、観ている側も自分ごとのように感じさせられる作品になっている。鑑賞後はなんだかグッタリしたよね😆
主人公アンヌを演じるアナマリア・ヴァルトロメイは自分の目的を貫く芯の強さと、不安に押し潰れそうな危うさを的確に表現していて、素晴らしかった。
ただ気になったのが、肝心の相手とのいきさつを描いていないところ。ここは曖昧にしているのは逃げ道のようにも感じた。
1960年代のことながら、現代にも通じる女性の苦悩を観るものに投げかける挑戦的で、賛否の分かれる作品。
監督の演出や撮影、俳優の演技は素晴らしかったが。自分の好みとしてはモラルに反する主人公の行動に賛同することはできなかった。なので曖昧なスコアです😅