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あのことのhydrangeaのレビュー・感想・評価

あのこと(2021年製作の映画)
4.2
原作を原書で読んでいたので何もかも了承済みでの鑑賞。

主人公の意志の強い眼差しから目を逸らすことはできない。不条理を不条理と訴えることもできない不条理さの中で、自分の人生の決定権を決して手放さない姿は勇敢だ。欲望を優先したセックスの結果の不幸を女性だけが背負わなければならない構造自体は、今も変わっていないと思う。産んだとしても産まなかったとしても。

原作の中で印象的だった言葉
「私は生と死を産んだ。この体験は、普通の人なら決して行こうと思わないところへ行ったということだ。まるで孤独な船乗りや麻薬中毒者や泥棒のように。その誇りが私にこの物語を書かせた」

彼女の静かな戦いは、ノーベル文学賞という結果につながったわけだが、このことは中絶禁止に傾くアメリカに影響を与えることはないのだろうか…
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