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Another World(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Another World(英題)(2021年製作の映画)
2.5
[ヴァンサン・ランドンの仕事と家庭の板挟み闘争記] 50点

2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ヴァンサン・ランドンを主演とした『ティエリー・トグルドーの憂鬱』『At War』に連なる労働者階級の苦痛に満ちた戦いシリーズの一本だが、これらの作品がカンヌに登場したのに対して、本作品はヴェネツィア行きとなった(主人公がホワイトカラーだから?)。冒頭で描かれるのは弁護士を挟んだ離婚調停の話し合いだ。ヴァンサン・ランドンと彼の元妻サンドリーヌ・キベルランが向かい合い、仕事を家庭に持ち込んで破壊した工場長とその妻が言い争う。二人は仲が悪いわけではないようで、なぜここまで話が拗れたのかを続くシーンんで解き明かしていく。場面は変わり、今度は職場で部下を60人くらい辞めさせろという言い争いをしている。今度は休憩中に機械を触って怪我をした作業員(部下)について現場で言い争いをしている。家に帰ってもパソコンに向かって頭を抱え、食事も画面にかぶりつきながらだが、なんらかの障碍を持つ息子との交流もあり、家族生活をないがしろにしているわけでもなさそうだ。

様々な立場の人間の間で板挟みになる中間管理職という、何と言うか、ほぼ『At War』と同じなんだが…という一言で片付けたくなるほど二つの作品は似ている。ランドンがスーツを着ているか作業服かの違いだけなので、正直混ざってても分からないと思う。とはいえ、本作品では争い/交流が大きく分けて対家族、対部下、対上司の三種類存在し、それらを同時並行で進めていくので、テンポは良い。前作のような人と人のボケた頭の間から主人公を覗く、みたいな煩いショットはないが、その分記憶に残るようなショットもなく…
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