あちゃこ

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーンのあちゃこのレビュー・感想・評価

3.8
ショート動画を集めたような、それもTikTokとかじゃなくて チープなテレビCMのような感じ。いかにも作り物で劇的なショットに、でかい音楽。

タランティーノ感は別にないけど、多分その手のチープさが、タラの愛するB級映画を彷彿とさせたのかもしれないなと思いました。

少年がリーを描く象徴的なシーンは誰かに描かれることで、リーが他人から存在確認されたということだったのかなと思いました。
それまでリーはバックグラウンドや経歴がない空っぽな人形みたいな人で、だから人のマネをして吸収して人格形成するのが普通なのですが、逆に人を操る(マネされる)方になったから、逆転しちゃって、虚を与えるみたいな、負の行動になっていったのかななどと思いました。
しかし描かれたことで、少年が思い描く何者かになった。
そういった意味であの終わり方はこれから人としての人生が始まる旅立ちだったのかなーと考えられますが、かなり教科書通りな筋書きだから、それだとつまらないですね。笑

モナリザとは絵画の代名詞。絵画とは、見たものを写しとるもの=模倣すること(古典的には)そういう軽快単純な連想ゲームだったのかもしれません。

とにかく映画全体が表面的で希薄。現にどの登場人物も人間味がない(=誰にも感情移入できない)し、中身のある関係も感じられない。
止まらない暴力はそういった昨今の表面的な、インターネット上な、SNS社会の結果? これもありきたりでつまらないし、監督はどちらかというとTVショー育ちな感じ(テレビ見るシーンが頻繁に描かれる。ネトフリのドラマもそうだった)。

人々が他人の中身に無関心で負が蔓延してるのはいつの時代だろうと変わらない、普遍的な問題。
あちゃこ

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