コーディー

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーンのコーディーのレビュー・感想・評価

4.2
12年間隔離された精神病院を抜け出したモナが未知なる世界、ニューオリンズの街で遭遇する脅迫、私欲、そして温もり…
世知辛さを超能力で躱しながら夜を彷徨う彼女の旅は無垢で危なっかしいけど、持ち前の超自然的な魅力がジワジワと弱者の連帯を生み、発光するw
そんなサイケデリックな物語を彩る映像と音楽の親和性&中毒性に溺れるような不思議な映画体験。めっちゃ好き!

右も左も分からない世界で他者の価値観に身を委ねるしかなかったモナがフラフラと、けれど徐々に地に足を着けていく様子にワクワクするし、予測不能な展開の中で何かが脈動していく力強さが堪らなく心地良かった。
そんな感性を刺激する映像と音楽がもたらす高揚感も最高でした。

神秘的な念動パワーを持つモナが様々な人々との交流の中で狡さ、罪深さ、哀しさに触れ境界を見極めていく…
何て事ない逃亡劇のようで複雑に絡まる人情が味わい深かったし、彼女を取り巻く危うくも憎めない登場人物たちもとても魅力的で、善良な警官ハロルドやボニーの欲深さ、チャーリーとの共鳴、いかにも胡散臭そうなファズの意表を突く人間味など、もう皆んな好き!

そして何と言っても無愛想なのにキュートな愛おしさに溢れるモナを演じたチョン・ジョンソが最高過ぎた。

まあ感想が難しい映画ではあったけど、めっちゃ好きです!