9.11を題材にしたミュージカルの舞台映像作品 by AppleTV+。といっても世界貿易センタービルが舞台ではなく、テロの影響で空港が閉鎖され目的地に着陸できなくなった大西洋上の飛行機が大量に緊急着陸したカナダの小さな離島の様子が描かれます。
特段目立ったミュージカルナンバーはなし、全体としてもあまりミュージカルらしくない作品で、次から次へと場面をテンポよく切り替えるのに音楽を利用しただけといった感じです。ミュージカル苦手組の方々のほうが本作は楽しめそう。他の舞台映像作品と比較しても録音に臨場感があり、舞台の迫力がうまく再現されています👍
突然押し寄せた人々をなんとかもてなそうと右往左往する姿や、飛行機の乗客それぞれの物語が必ずしも大団円にはならないところなど、実話だけにとてもリアル。
熟年カップルが誕生したり、飲み屋で盛り上がったり、小さな島ならではのどこかほのぼのとした雰囲気があまりに9.11のイメージと対照的だけど、その強烈に違和感を感じさせるギャップのため、映し出されない地獄と化したマンハッタンの様子がかえって観客の心に強く想起されて胸が締め付けられるんよ。不思議な力を持ったミュージカルです。
カーテンコールで役者だけでなく、伴奏者にスポットが当たるのがとても好印象。どのミュージカルもこうであってほしい！エンドロールでは、モデルとなった人と役者さんのツーショットが出るのでそちらも眺めていて楽しいです。
