うにたべたい

ヤツアシのうにたべたいのレビュー・感想・評価

ヤツアシ(2021年製作の映画)
3.2
"大仏廻国"のリメイクや"大群獣 ネズラ"の舞台裏、そして昭和に流行った「怪猫映画」を復刻した映画で著名な横川寛人監督の短編作品。
なんでも大映は"大群獣ネズラ"の前に"大魔獣ダゴラ"というタコの企画があったそうです。
ヤツアシとは、8つの足を持つタコを指していて、タイトルの通り、巨大タコが大暴れする内容となっています。

津村は、前職で職場いじめに遭い、過ごしやすい環境を求め転職してきたのですが、その初日、どこに行っても大きく変わることはないことを知ります。
その職場では八芦という男に対するパワハラが横行していて、津村は、怒鳴られ、単純作業や急な仕事を押し付けられる有様を目の当たりにします。
八芦が自分と同じ位置ゲームをやっていることに気づいた津村は、八芦とフレンド登録をするのですが、ある晩、八芦が海の中にいることに気づく。
そしてある日、巨大なタコが海から現れ、津村の職場ビルに近づいていることを知る、という展開です。

特撮は非常にちゃちです。
ただのタコをミニチュアの街に這わせているのみで、迫力も無く、タコにやる気も感じられませんでした。
大きさも中途半端な縦横車2台分くらいで、そもそもタコが陸地でまともに動けるはずもなく、正直なところ、包丁持って立ち向かえば、生身の人間でも勝てそうな雰囲気があります。
タコが道路を這って進むシーンなんかは、怖いというよりも、うまそうという気持ちが先行したのは私だけでないはず。
醤油とわさびを持って現場に急行したいですね。

ストーリーもシンプルで、要するに職場でいじめられた男がタコになって仕返しにくる話です。
ただ、12分程度と尺が短いためか、いじめの描写が短すぎて、「タコになってまで復讐するようなことか?」と思ってしまいました。
むしろ、八芦は、仕事ができなくて会社の売上や職場の空気を悪くしているのは事実のようなので、逆恨みではないかとすら思いました。
最後はなんとなくやってやった感を残して終わりますが、八芦は普通に危ないヤツで、職場の方々は被害者という感じがします。

あと、八芦は色白で小太りのお兄ちゃんなのですが、彼が全裸でタコと戯れるシーンがあって、なかなかすごかったです。
これは、復讐のために、文字通り身も心もタコと一体化したということなのでしょうか。なんてマニアックな。
ツッコミどころ満載ですが、12分でよくまとまっていて、おもしろく見れました。