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ベルファストのpenのネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

モノクロの映像は人間の顔へ意識を向けるのに効果的なのかもしれないと実感するほど、本作は登場人物達の表情一つ一つが印象深い。時には愛嬌、時には苦悩を感じさせる様々な顔は、ずっと昔にそこで生活していた人々が確かにいた事実を、強く思わせた。

幼少期に経験した出来事はその後の人生においても影響をもたらす。最後までモノクロ映像が続く中、少年が観たスクリーンに投映された映画そして演劇はカラーになる。それほど強烈な刺激。ではこの少年が後にどうなったのかといえば、その答えを私たちは間近で観ている。

個人的はウディ・アレンが昔手掛けた『ラジオデイズ』を思い出した。アレはラジオ放送と人々の生活の関係を自身の少年時代の思い出を通して描いていたが、本作はメディアとの繋がりは先に書いた一部カラーにする演出でおさえて、あくまで街の通りで息づく人々を描くことを大事にしていたように思う。街の裏通りで話す人々がよく出てきて、ある場所では大人同士、別な場所では子ども同士がそれぞれそれなりの話題を話している。狭いようでいて街の通りには様々なドラマに溢れていたのが伝わる。

『モダン・ラブ』シーズン2で印象的だったdays like thisという曲が本作でも使われているが、調べたら歌手のヴァン・モリソンは北アイルランドのミュージシャンだそうで。劇中の音楽にも拘りがあるのだろう。
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