With or Without You
ケネス・ブラナーが監督、脚本を務めた彼の半自伝的作品。
1969年の北アイルランド、ベルファストは
宗教間の弾圧が激しさを増し、プロテスタント側のカトリック宗派への執拗なまでの暴力が続き、プロテスタント派のケネス・ブラナーがモデルのバディ少年の家にも被害が起こる。
そんな問題を抱えつつ、バディ少年の日常を描いているのだが、実に良い。
同級生の女の子に恋をして、それをお爺ちゃんに相談してるのだが、いつのまにか、お爺ちゃんが脱線して、お婆ちゃんのご機嫌を取ったりと。バディ君の父、母が生まれ育った
この街は、母が語る通り、家族、親戚、近所の誰もが一家を知っている。日本だと、昭和の風景を思い出すような、温かい関係が築き上げられているのだ。この映画の秀悦な所は、あくまでもバディ少年の目線から、現実が浮かび上がってくるのだが、父と母のなにやら相談事をしている事や母が郵便物を見て憂うつになる事など、バディ少年の目に写る事で描写している所が素晴らしい。バディ少年には、大人の都合は、多少感じる事は、あっても、そんな事より、サッカーや好きな女の子の事の方が大事。そんなバディ少年にも、転機が起きる。
アイルランドの問題は、ダブリン出身のバンド、U2の代表曲”With or Without you”の歌詞にも反映されている。歌詞を書いたボーカリストのボノはカトリックの父とプロテスタントの母の間に生まれている。
