レオン

ベルファストのレオンのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.6
白黒で何かしらの「趣」がある作品と期待したが、私的にはそれほどでもなかった・・。
よい点=
★バディ役の子が愛くるしい容姿を上回る演技で、作品に明るさを与えている。
★「恐竜100万年」「チキ・チキ・バン・バン」等のシーンが映画ファンを微笑ませる。
★ジュディ・デンチ、キアラン・ハインズの両祖父母役の存在感が本筋以外にも見どころを作っている。

マイナス点=
▲各シーンがかなり断片的で、没入感が感じられない。
アカデミーの脚本賞を得ているが、自分的には・・・
路上でのダンスや、葬式後パブ?での夫の歌シーンにも違和感・・

▲各登場人物が、好きになれる様な描写よりも、逆にネガティブに感じる描写が多い
家計が苦しい中、競馬に浪費する夫(税金用の金を競馬に回して嫁に叱責される様な描写も・・)
好人物そうな祖父だが、孫に試験のズルを教え、オマケに死後に借金を残している。
子役バディも万引きや暴動参加を断れない意志の弱さを表し、父の移住話を盗み聞き後喜んでいたかのようで、両親の前ではいやだと泣いて否定・・

各人物のもろさを表したのかもしれないが、この家族にもっと好感を持てる様な設定にしたほうが、この作品の本筋をより表せてたのではと感じてしまった。

▲人物が誰か分からないシーンや、設定とは逆に思うシーンも・・
(食卓で夫婦とバディーが話すシーンの右端に、ネクタイ姿の成人っぽい人物がずっと立っている・・誰?なぜ?と思っていたが、2度目の鑑賞で初めて長男だと分かる 
母親に伝えてくれと来た人物が警察官の様な服装で、違った進展を予想させてしまう・・等)

ギャンブル依存症に近いのに、シドニー等海外移住を提案する夫。 税金の延滞金させ払えないのでは?
一度仕事に行くと、2週間帰らぬ設定だが、家族での描写が多く、その間妻一人で家庭を支えている事が夫の台詞以外では伝わらない・・。

母が洗剤を返しに行かせる教育は素晴らしいが、あの危険な騒動の中、説教で時間を取り、あげくに再度洗剤を持ち帰ってしまう・・また違和感・・せっかく母親はそれまでネガティブ描写がなかったのに・・。

と、気になる点が随所に見られ、残念な印象の方が強くなった。 鑑賞後にじわ~と心が温かくなるような印象にはほとんど浸れなかった。

蛇足ですが、アイルランドの宗教による惨劇はこの映画を見るより、U2の「Sunday Bloody Sunday」を聞いた方が、自分的には今でも心に刺さります・・・。
https://www.youtube.com/watch?v=5tEMan8KdXw
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