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ベルファストのmoneのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.9
素晴らしかった。人生讃歌と公式サイトには書いてあったけど、もっとストレートにベルファスト讃歌だと思う。ケネス・ブラナー監督の郷土愛がそこはかとなく伝わってくる作品。バディ、もといブラナー自身がベルファストという街に育てられた様子がよく分かる。
最初の空撮ショットから、行ったことのないベルファストにぐっと引き込まれた。
そして本作は言わずもがな、ブラナー監督から「残るもの、去るもの、失われた者へ」送られた北アイルランド紛争の鎮魂歌でもある。

GranyとPop、PaとMaはそれぞれセリーヌとジェシー以来のベストカップル賞をあげたいくらい素敵な家族。特にMaはジョジョラビットのスカヨハ以来のベストマミー。着こなしが素敵。さらにはダンスしながらの「あなたはフレッド・アステアね」という台詞もなんともお洒落。ただ、幸せなシーンを見ると無意識のうちに何かこの後悪いことが起きるのではないかと心に予防線張りながら見ていたようで、観終わった時すごく疲れた。

モノクロ映像から伝わる温もりと厳しさが良い。特に最後のGranyの台詞。
ベルファストで過ごした年月が刻まれる皺と、街を去る家族を映す瞳が克明に映し出されることで、最後の台詞は説得力を増す。
「行きなさい、過去を振り返ってはいけない」
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