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ベルファストのmusicboxrockのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.3
本日2本目の映画は昨年のアカデミー賞脚本賞に輝いた本作を鑑賞。

監督であるケネス・ブラナー自身の自伝的作品という本作。宗教的分断が紛争に発展してしまったベルファストが舞台だが、紛争をドラマっティックに描くのではなく、主人公バディ少年視点で家族や日常をユーモア挟みながら軽快に描いているのが印象的。

大人たちは宗教的な違いから歪みあっても、子供たちにとって大切なのは家族であり友達であり、音楽・映画であり、学校のテストであり好きな子である。周りが変わって行くことを、変わらない子ども視点である意味明るく描くことで風刺が効いてるし、結果故郷を離れることになった現実をシビアに感じさせる脚本が本当に素晴らしい。

また本作で素晴らしいと感じたのが、映像と音楽。
全編モノクロの映像を独特の画角で描く映像は、どのシーンもアート作品のような趣
。一部カラー(しかも鮮やかな)を挟むのも効果的で、特に冒頭カラーで現代の穏やかなベルファストを移した後、徐々にモノクロの69年のベルファストに遷移するオープニングは最高に美しかった。

そして音楽はアイルランドの至宝、ベルファスト出身のヴァン・モリソンがスコアを担当。全編でヴァンの音楽が楽しめるのは、ヴァンファンとしては至福。ケネスの映像美との相性も抜群で映像と音楽だけでも私は満足かもw

アイルランドに所縁のある俳優陣も見事。
モノクロに映える美男美女父母はとにかく映えるし、祖父母の関係性も暖かくて良かった。ジュディ・デンチも流石の演技でラストの抜きは凄いインパクトでした。

98分と尺も短くテンポ良く描かれるため、感情の揺さぶりや派手なシーンは無いため評価がわれる作品かも。私は大好物で2022年作品でもトップ5に今から入れたいかも。

それにしても今日はイギリスを舞台に分断と家族をテーマにした作品を続けて観たなぁ。結論が故郷に残る、出ると違う選択だけどどちらも前に進むためのポジティブな結末だったのが良かった。

ウクライナとロシアの問題を抱えた現代こそ見るべき重要作品かも。
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