sakura

ベルファストのsakuraのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
「いつも見守っているよ」

2022年アカデミー賞7部門ノミネート。
脚本賞受賞作品 。

ケネス・ブラナー脚本、監督、製作。

北アイルランド、ベルファスト出身の監督が、自身の少年時代の思い出をモノクロで表現。

観る前はモノクロだし、98分だけど飽きずに最後まで観れるかな?なんて思っていたのですが。。(はじめと終わりにカラーの風景もあります)
見始めたら、素朴な家族の喜怒哀楽、ささやかな幸せと共に心躍る音楽も流れて、あっという間の1時間半でした。

1969年、北アイルランドのベルファストに暮らす9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)とその家族。
キリスト教のカトリックとプロテスタントの対立により穏やかだった街が一変する様が描かれています。

バディ少年のつぶらな瞳が紛争を目撃してしまう表情が切なくて。。お母さんが息子を守る為に必死になっている姿。
子供が主人公だと目が離せなくなり、その可愛い眼差しから、忘れてた小学生の頃の純粋さを思い出させてくれる気がしました。

ジュディ・ディンチ演じるおばあちゃんも素晴らしかったのですが、おじいちゃん(キアラン・ハインズ)、特に良かったです。
何故かよくトイレに座って話していて。。
バディに色んな事を教えてくれます。好きな子への接し方や数学のコツ、最高でした。
優しい祖父母に挟まれて座るバディの会話シーンは見てるだけでほっこり。
映画やお芝居観ているシーンも楽しく平和な時間が流れていました。

宗教の対立による紛争が描かれているものの、悲惨な描写に偏らず、故郷を追われてしまう切なさ、郷愁と家族の絆に重きを置いています。

北アイルランドも日本も、家族や故郷を想う心、祖父母の温かさは同じなんだなぁと、胸がいっぱいになる作品です。
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