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ベルファストのmegurosのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
3.8
ベルファストに残った者たち、去った者たち、そして死んでいった人たちに捧げられた映画。故郷を離れるということは、親との別れであり、幼年期との別れでもある。別れを悲しみながらも、それぞれがそれぞれの場所で強く生きていく。むしろ、それしか選択肢を持ち得なかった家族の物語であり、監督の個人史であり、民族の歴史が炙り出されている。

そうしたアイルランド人の心は、アイルランド民謡「ダニーボーイ」では子供が戦場に向かうのを見送る場面として歌われ、放浪者となったアイルランド人は実際に世界中にパブを作っていく。

とはいうものの、個人的にはそのベルファスト魂に共鳴する反面、個人的には距離も感じざるを得ない。プロテスタント地区に住む少数のカトリック教徒の排斥から治安が悪化、バリケードを組んで暴徒を凌ぐような生活を一家は送っているわけだが、自分だったら故郷を捨てるにさほど迷わない(だって危ない)。実際に自分は今も故郷を薄く離れているわけだが、故郷を離れるということを彼らほど重くは捉えてこなかったことに気づく。

ママが一見してそのへんのママではない/あの小さなコミュニティに収まらないくらいスタイルが良くて美人すぎるのがやや違和感。個人的ハイライトは「なんで洗剤とったの?」と問われて「It’s biological!」と答えたあの場面でした。
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