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ベルファストのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0
ケネス・ブラナー監督(製作、脚本も)が、北アイルランドの首都ベルファストで暮らした幼少期を投影した半自伝的作品。
1969年のベルファストを少年の視線でシリアスながらもユーモアを込めノスタルジックに描いたヒューマン・ドラマの秀作。
撮影はハリス・ザンバーラウコス。
音楽はアイルランド出身の世界的なミュージシャン、ヴァン・モリソン。
原題:Belfast (2021)

1969年、北アイルランドの首都ベルファスト。
そこで生まれ育った9歳の少年バディ。家庭には金銭的な余裕はなかったが、温かい家族や友だちに囲まれてのびのびと暮らしていた。
ところが、その年の8月15日、過激化したプロテスタントの暴徒がカトリックの住民たちを襲う事件が発生。
住民同士が顔なじみで家族のように親しかったベルファストの町は、この日を境に分断されていく。
暴力と隣り合わせとなった日々の中、バディら家族は故郷を離れるか否かの決断に迫られる…。

~登場人物~
・少年バディ( ジュード・ヒル)
・母親マー( カトリーナ・バルフ)
・父親パー(ジェイミー・ドーナン):出稼ぎ労働者
・祖母グラニー(ジュディ・デンチ)
・祖父ポップ(キアラン・ハインズ)
・兄ウィル(ルイス・マカスキー)
・ヴァイオレットおばさん/母親の姉(ジョシー・ウォーカー)
・同級生キャサリン(オリーヴ・テナント)
・近所の少女モイラ(ララ・マクドネル)
・プロテスタントの過激派、デモのリーダー、ビリー・クラントン(コリン・モーガン)
・司祭(ターロック・コンヴェリー)

~登場する映画~
「恐竜100万年」
「リバティバランスを射った男」
「真昼の決闘」
「チキ・チキ・バン・バン」

~登場する曲~
1.Down To Joy – Van Morrison/
冒頭のオリジナルテーマ曲「ダウン・トゥ・ジョイ」
 2. Star Trek Theme – Alexander Courage
3. Caledonia Swing – Van Morrison/
バディの両親がストリートでフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースをきどって踊る「カレドニア・スウィング」
4. Cosmic Sequence, The Pteranodon from one million years B. C. 1967 
 5. Bright Side of The Road – Van Morrison
/バディが初恋の少女を探す「ブライト・サイド・オブ・ザ・ロード」
 6. Real Love – Ruby Murray
  7. Warm Love – Van Morrison/
愛を表現する「ウォーム・ラヴ」
 8.Jakie Wilson Said – Van Morrison/
バディが学校でいい点数をとる「ジャッキー・ウィルソン・セッド」
  9. Polly Wolly Doodle – Cyril Mockridge
  10. The Quarrel – Dimitri Tiomkin and Ned Washington 
 11. Do Not Forsake Me – Dimitri Tiomkin and Ned Washington/
暴動に巻き込まれた家族を守ろうとする「ハイヌーン」(西部劇へのオマージュ)
 12. Stranded – Van Morrison/
ロンドンへ行く?「ストランデッド」
 13. Days Like This – Van Morrison/
屋外で一家が遊ぶ「デイズ・ライク・ディス」
 14. Chitty Chitty Bang Bang – Richard M. Sherman & Robert B. Sherman
15. Cliffhanger II – Irwin Kostal
  16. Everlasting Love – Love affair/
父がクラブのステージで歌うラブ・アフェアーの「エヴァー・ラスティング・ラヴ」
  17. Carrickfergus – Van Morrison /
両親の子育てをめぐる会話「キャリクファーガス」
 18. And The Healing Has Begun – Van Morrison/エンド曲

「アイルランド人は根っからの旅人よ。そのおかげで世界中にパブが。残った者は去った者を想って涙に暮れるの。私たちに必要なのは、電話とギネスとダニー・ボーイ」

この映画は「残った者たちと
去っていった者たちと
命を落とした全ての者たちへ」捧げられている。
For the ones who stayed
For the ones left
And for all the ones who were lost.

ベルファストの美しい街並み、
美しいモノクロ(一部カラー)の映像、
ヴァン・モリソンの素晴らしい音楽、
少年バディを演じたジュード・ヒルの茶目っ気一杯のかわいらしさ、
支える脇役たちの手堅い演技、
シェークスピア劇からスタートしたケネス・ブラナー監督の見事な演出で、
シリアスながらも、ピュアで心暖まる愛おしい作品になりました。
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