監督がその実体験をもとにベルファストでの少年時代を振り返る。
ベルファストに何のゆかりもない人でさえ郷愁を感じるような作品。
誰にも故郷があり、愛していてもそこを離れなければならない人がいる。大人たちは自分のため家族のため必死に道を探る。子どもたちは否応なしに巻き込まれていく。生活のためより良い土地を求めて移住するのは悪いことではない。
町は危険だったが家族に包まれ心までは貧しくなかった。何にも代えがたく今では戻らない輝かしい日々。
母親の、ここを去りたくないと心から訴えるシーン、去りたくないがあまりに危険過ぎるという嘆きが胸を打った。
もうひとつ印象的だったのは美しい映画館のシーン。あのひときわ暖かい灯が監督の心に今も点っているのだろうと想像させる。
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バディ少年の一家はベルファストで平和に暮らしていた。
その地区である日激しい暴動が起きて治安も家計も悪化。
町でのさばるのは暴動集団。バディの父親も恐喝じみた勧誘を受けている。
父は出稼ぎに。
生活は続く。一家を守るのは母。幼い子供二人を教育しつつ危険から命を守る。
父は一家で引っ越そうと誘うが、母親は見知らぬ土地に不安しかない。
私たちは悪くないのに。あちこちに思い出のあふれる町なのに。
しかし暴動はいよいよ激しくなり、安全には替えられないという状況。
去る者と残る者の選択。
