このレビューはネタバレを含みます
イギリスの中でもあまり馴染みのなかった北アイルランドが舞台。
ケネス・ブラナー監督の自伝的作品。
モノクロが映し出すノスタルジックな光の陰影、音声がとても美しい。
人々の日常がある日、突然嫌悪と暴力によって町が分断されてしまい、それでもいつもの日常を生きていく。
気心知れたご近所さん、家族揃って楽しむ映画、好きな子のいる教室、決して豊かではないけれどささやかな幸せがそこにはある。それが故郷。
素直なバディが悪いことに巻き込まれたり、父、兄が過激派に協力を強要されても、家族は自分達の信念は曲げず変わらぬ日常を送ろうとする。
留守がちな夫の代わりに、気丈に家族を守りぬく妻役のカトリーナ・バルフの美しさ。
キャスティング、物語、映像、音楽、半世紀前の日常、完成度の高い美しい作品だと思う。