にく

沈黙は金のにくのレビュー・感想・評価

沈黙は金(1946年製作の映画)
4.7
散々セクハラを働いた初老の男(映画監督)が若い男(俳優)に娘の様な歳の女(踊り子)を譲ってなお、別の若い女にセクハラをしようする(fin)、という、現代の価値観からすると非常にどうしようもない話なのだが、笑わずには、かつ涙なしには見られない傑作(褒めてます)。つまり、クレールは、自らの(マッチョな男性)監督としての立場を(時代の制限はあるのである程度にとどまるにせよ)早晩去り行く存在として相対化してみせるのだ。
 そういう当時のホモソーシャルな社会の機微とその限界を示す、あるいはその様な社会に翻弄される/そこで強かに生きようとする女性を描く作家として、クレールを見直してみたい。
 それとは別に、スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』で再現されたメリエスの撮影所は、当作のそれ(メリエスの、ではないが、20世紀初頭のパリの映画撮影所をセットで再現している)を参考にしているのだな(たぶん)、と思ったよ。ということで、初期の映画作りの様子を知りたい人も必見。
 
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