みーちゃん

THE GUILTY/ギルティのみーちゃんのレビュー・感想・評価

THE GUILTY/ギルティ(2021年製作の映画)
3.3
オリジナルのデンマーク版は未見なので、それとの比較は出来ないけど、「電話から聞こえる声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルな設定と予測不可能なストーリー展開」という解説からして、本作と少しずれている気がする。

※ここから本編に触れます。

私が感じるこの作品の意義、おもしろさは、ジェイク・ギレンホールが演じるジョーという、ある問題を抱えた人物が、映画の始まりと終わりで大きく変容したこと。それが、数ある緊急通報の中で、たまたま自分が受電した事件の、始まりから終わりまでのプロセスと同期したこと。に尽きると思う。

で、最も重要、且つ、転機となるポイントは、ジョーが通報者に対して(おそらく彼が人生で初めて)、自分の過ちを認めたシーンだった。なのに、そこが盛り上がらず、焦点が分散してしまったのが残念。

特に誘拐事件の描き方は、欲張り過ぎた結果、あまりに都合よく、薄っぺらい展開になってしまった。1時間半という短い尺なので、事件そのものは、もっとシンプルにして、"思い込み"が作り出す複雑さだけに的を絞った方がよかった。

ほぼ一人芝居状態のジェイク・ギレンホールはとても魅力的だったから、テーマを明確して脚本を練り直せば全体が良くなると思う。