タカシサトウ

世界で一番美しい少年のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 「ミッドサマー」で、カムバックしたビョルン・アンドレセン。彼が如何にして、心の傷を受けて行ったか、その過酷な運命をたどるドキュメンタリー。

 「ベニスに死す」の監督ルキノ・ヴィスコンティがいかに彼に酷いことをしたか。記事で少しは知っていたけれど。カンヌ映画祭で彼をさらし者にし、同性愛のパーティに連れまわしたのは、やはり虐待だろう。

 「ベニスに死す」を観た時は、彼は、ギリシャ彫刻のように美しいと思ったが、これを観ると、「ベニスに死す」は気の毒でもう観れないかも。ルキノ・ヴィスコンティは、この時代だからこの世界では見逃されたのかもしれないけれど、今だったら逮捕されていたのでは。

 両親が居なくて、孫を有名にしたいだけの祖母に日本に送られて、あそこまでやっていたとは。まるで、日本に食い物にされたよう。

 「ベルサイユのばら」を彼をモデルに描いた池田理代子が、現在の彼に会って感動していたけれども、“表面だけでなく彼の内面も観ていたと思いました”と分かったかのように発言したのが何だか傲慢だと思った。

 彼は、「ベニスに死す」を境にして、様々な喪失体験で心に傷を受けたけれども、娘とのやりとりは少しほっとするし、再び映画に出る気になったり、再び日本に来て懐かしむことが出来たのは良かったのかもしれない(2023.1.15)。