みりお

ワース 命の値段のみりおのレビュー・感想・評価

ワース 命の値段(2019年製作の映画)
3.7
2011/9/11のあの日、アメリカ同時多発テロ事件によって喪われた命は約7000人。
その中には世界を股にかける企業の役員もいれば、レストランの皿洗いもいて、そして彼らを救うために飛び込んでいった消防士もいて…
そんな多様な人々に対して補償金を分配しなくてはいけない大仕事を買って出た、一人の弁護士の物語。

亡くなった当時の年収と、遺された家族の人数。
当初はその2つの要素だけで命の値踏みをしていたファインバーグ氏は、当然非難の的になってしまう。
だが数千人もの被害者とリアルに会話をし、想いや事情を聞いた結果、ファインバーグ氏の判断は少しずつ変わっていく。

年収と家族の人数など、人を表す数字はたくさんある。
数字ごとに判断すべきことや、補償金を頭数で等分できない事情があるのは真理だろう。
しかし数字でしか見ていなかった一人一人の背後には、いきなり命を奪われたあの日まで異なるそれぞれの人生があって、遺された家族にもそれぞれ異なる想いや事情があったのもまた事実。
遺族が末期がんだったり、同性パートナーだったり、隠し子がいたり…
人の人生には、数字や一定の基準で測れない感情や事情が渦巻いている。
それを理解するには、一人一人の声を聞くしかない。

限られた時間の中でヒアリングを重ね、壮絶な「家族を喪う」という体験を、数千人分繰り返したファインバーグ氏。
信じられないほど重たく、辛い体験だっただろう。
できれば誰もやりたくないこと、でも誰かがやらねばならないこと。
そんな仕事に真正面から向き合い、一人一人の"愛する人を喪った悲しみ"に寄り添った、真の英雄の物語だった。


【ストーリー】

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ発生直後、政府は被害者と遺族を救済するための補償基金プログラムを設立する。
弁護士のケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)は特別管理人を任され、約7,000人の対象者に支払う補償金額の算出作業を開始。
しかし、ケンら弁護士チームは遺族それぞれの苦悩と向き合ううちに、年齢も職種もさまざまな犠牲者たちの「命の値段」をどのように算出するのか葛藤し始める。


【キャスト・スタッフ】

*監督:サラ・コランジェロ

アメリカ出身🇺🇸
大学で映画製作を学び、卒業制作のshortfilm『リトル・アクシデント』(2010)はサンダンス映画祭で世界公開され、数々の賞を受賞しました✨
このshortfilmから着想を得た長編デビュー作『リトル・アクシデント-闇に埋もれた真実-』(2014)も、デビュー作ながらいくつかの賞にノミネートされました🌟
また『キンダーガーテン・ティーチャー』(2018) では、サンダンス映画祭で監督賞を受賞しています✨
本作は3作目の長編監督作で、今後がますます楽しみな監督さんです💓


*ケン・ファインバーグ:マイケル・キートン

『バットマン』でみりぺでぃあ記載済。
ほんとキートンって七変化だなぁ👀
キートンって言われなきゃわからないレベルで、ファインバーグ氏に似せてます✨
先週の「世界一受けたい授業」のゲストが、なんとファインバーグ氏ご本人でしたが、キートンが似過ぎててビックリしました🫢


*ウルフ:スタンリー・トゥッチ

『プライベート・ウォー』でみりぺでぃあ記載済。


*カミール:エイミー・ライアン

アメリカ出身🇺🇸
舞台女優としてキャリアをスタートさせ、1993年にはブロードウェイ・デビュー🌟
1999年に端役で映画デビューし、しばらく作品には恵まれなかったようです💦
しかし舞台女優としては、2000年の『ワーニャ伯父さん』と2005年の『欲望という名の電車』で2度トニー賞にノミネートされており、映画女優としては2007年の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』で数々の映画賞を受賞し、第80回アカデミー賞助演女優賞の候補にもなっています✨
主な出演作は『チェンジリング』『大脱出』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』など。
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